苛々する
※職場の僕を知ってる人はできれば読まないでください。もしくは、読んでも絶対話題に上げないでください。
去年の7月に入ってきた新人のK(男・確か23かそこら)の話。
これが非常に態度が悪い、ように見えてしようがない。
まず、歩き方がものすごく怠そうなんである。
マンガで言ったらコマの横っちょに「あー、かったりぃ……」とか書いてありそうなくらい怠そうなその態度。
書き文字を入れるならだらだらかぶらぶらかぐでぐで。もしくはちんたら。
はっきり言って大正生まれのおじいちゃんの方がしゃんとしているよーに見えるくらいその歩みはだらしない。
本当にお前は脊椎動物なのかと思うくらい歩き方に軸がないから、見ていて本当に苛々するのだ。
あまりにも見苦しいから注意してみたら、腰が悪いとか痛いとか理由になってない弁解をする。
魔女の一撃*1でもくらったか病気か生まれつきで悪いならこっちだって何も言わない。
だが、僕とてある程度生理的なものか精神的なものかは判るつもりだ。
本当に生理的なものなら注意するのは失礼に当たるし、本人の思うとおりにならないなんてことは百も承知なんだから何も言わない。
それに、腰が悪いのと歩き方がだらしないのとは根本的に違う。
腰が悪いというならそこらを歩いているじいちゃんばあちゃんの方がよっぽど腰だって足だって痛いし悪い筈なのだ。
だというのに、だらだら歩いている老人にはあまりお目に掛かったことがない。
確かに加齢のせいで腰が曲がってしまったり足が悪くなっているんだろう歩き方をしている人は大勢いるが、僕は別に見苦しいとは思わない。
ただ、なんの意味もなくだらだらとした雰囲気で歩いている人間が見苦しいと思うのだ。
なんて言うか、精神的に醜い。
気が濁ってる気がする。
大体、病人でもない男が(一つか二つしか年齢差のない)女に向かって腰が痛いだのなんだのっていうのは間違っている。
しんどいのはこっちの方なのだ。
程度の差こそあれ、女には生理ってモノがある。
どんな病気だってなってみないと判らないから判ってほしいなんて噴飯ものなことは言わないが、腹の中の肉がじりじりと剥がれ落ちていく不快感*2や固まった血の塊が落ちてくる時の感触は本当にたまったものじゃない。
椅子から立ち上がるときなんか粗相するわけにはいかないからものすごく気を遣うし。
怪我をするように痛いわけではないが常に腰の辺り、尾てい骨のちょっと上あたりのへこんでいるところがなんだか重くて痛いから立って歩くのも億劫だ。
でもってひどいときは夜中に何度も飛び起きて手洗いに走る。
一時間か半時間に一度眠りから覚めざるを得ないうえ、気を張っているから眠りも浅い。
元々女の方が血は薄いというのに、結構な量の血が出ていくからさらに血は薄くなって体が重い。
体調によっては歩くのだってしんどい。頭はくらくらするし、立ち上がったらしばらく前が見えない時もある。頭を振れば即、頭痛だ。
普段常に充血している(笑)まぶたなんて、ひっくくり返してみたらえらく真っ白になってて、なんだか冗談みたいで、皮膚が白いのを通り越してなんだか微妙に黄色っぽい(さすが黄色人種である・笑)。
当然のことだけど生理が終わったからって失われた血が戻ってくるわけじゃないから、なかなか諸症状は回復しない。
そういう人間に向かって、軽い口調でいやぁ腰が悪いんですよだなんてどの面下げて言えるというのだ。
普通の人間なら背筋を伸ばしてきびきび動けってのは別に無理な話じゃない。
気の持ちようさえ何とかすれば、ちょっと大変かもしれないが何とかなるし、事実僕だって何とかなってる。
だから僕は言っている。
それを体のせいにするっていうのは単なる言い訳というものだ。
それに加えて仕事中の表情が常にふくれっ面。
何を考えているのかは知らないが常に眉間にしわを寄せ、下手すれば比喩表現ではなく頬をふくらませていることだってある。
しかも結構人がいたりするのに難しい顔をして手引き書なんかを読んでいる。
時期が時期なのでちょっとした相談会場を設けているのだが、そんな顔をしていては声を掛けづらいというのが判らないんだろうか。
つーか本読んで勉強している暇があるならもっと周りに気を配ってほしい。
休み時間まで仏頂面しているんなら僕もまぁ素なのかと思わないでもないのだが、休み時間に好きらしいサッカーの話をしているときなんてまぁ宇宙飛行士にあこがれる子供のような表情を浮かべている。
なんつーか、目の輝きが違うのだ。前者が腐りかけた魚の目だとすれば、後者は夜空に瞬くお星様より輝いてると言い切っていい。
その態度の半分でも仕事中に持ってくることはできないのだろうか。
人間が嫌いで嫌いでしようがない*3上、常につまらなさそうな顔をしている*4僕だってなるべく態度を柔らかくするように気を遣っているのだ。
朝から晩まで客の応対してたら表情筋が引き攣りそうになるくらい頑張ってにこにこしているのだ。
役所だから必要以上に優しくする必要はないけれど、どんな人間だって端から機嫌が悪そうなやつに出てこられれば気分を害するし印象も悪くなるに決まっているのだから。
僕だってそれくらいできるんだから、もうちょっと柔和な表情くらいしてくれと思う僕は間違ってないと思う。
僕が注意しても何一つ聞いてくれないどころか、「またそんなきついことを言って」とか「言わせてもらいますけどね、」とか反論してきて自分を正当化しようとする。
要するに奴は僕の話を真面目に聞く気がないのだ。
確かに僕は高卒の女の子(子、と言うには些か年を取りすぎているような気もするが)で、その上奴より一つか二つか年下である。
男のプライドとかそういうのからしてみれば僕が言っていることなんて真面目に聞きたくもない、余計なお節介だと思っているんだろう。
それくらい判っている。
でも、僕のいる職場は入って四、五年くらいのぺーぺーともう二十年以上仕事してるベテランがほとんどで、間がほとんどいないという結構アンバランスな人員構成なのだ。
あんまり上の人から細かいことを注意されるのって嫌だと思うし、そもそも上の人の仕事ってそんなんじゃないから、僕(と僕の同期……ちなみに両方女である)が言うしかないと思ってやってるのに、冗談に取られちゃたまったもんじゃない。
僕だってもう社会人始めてから(研修所時代も含めて)四年も社会人やってるのだ。
ベテランの人から見ればくちばしの黄色い──というかまだカリメロ状態のヒヨッコだけれど、社会人一年目の人間よりはまだものを知っているはずだという矜恃くらいは持っている。
仕事は上の人に教えてもらえばいいと思う(もちろん学ぶ態度は重要だけど)。知らないのが当たり前なのだから。
けれど、態度とか礼儀、常識や気遣いなんてのは普通人から教えてもらうものじゃない。
僕は家庭環境のせいもあって感覚的には割と古い方だから、一般常識と気遣いのない人間がとにかく嫌いなのだ。
正当な理由があって反論されるのはやぶさかではないが、こっちが親切で注意しているのにそれを茶化されるなんて許せないと思う。
そう、二十歳にもなればある程度身に付いていて然るべきだと思っている。
そもそも僕は人と話すのなんて大嫌いなのだ。
気に入らない奴と口をきくなんてそれこそ冗談じゃない。
学校にいたときはそれこそ話しかけられても無視するかあからさまに嫌な顔をしてどこかへ行く、それでもだめなら面と向かって気にくわないというくらいのことはやっていた。
けど、ここは学ぶことが義務であり権利である教育機関とは違うのだ。
給料をもらって仕事をしている以上、後輩の指導も義務の内に入っているからいろいろと口を出しているのだ。
僕だってそんなに礼儀作法がちゃんと身に付いてるとは言い難いけれど、それでもできるかぎりはやってるつもりだ。
だいたい、僕の勤めてるとこは転勤が多いから、次に転勤があったときにまず恥をかくのは奴ではなくて上司──僕の上司でもある──なのだ。
別に奴が恥をかくのは全然構わないというかむしろ恥かけって感じなのだが、お世話になっている以上、上司には恥を掻いてほしくない。
まったくのジレンマなのだ。
他にもいろいろある。
たとえば電話。
いつも電話に出るときは三席向こうからでも聞こえるよう*5に大きな声で話すようと言っているのに、向かいの席の僕にすら声が聞こえないとか。
たまに大量の荷物が届いた時なんか、男の子が先に行ってくれるべきなのに(別に男女差別じゃないけどさ、区別は必要じゃないっすか。基本的に男の方が力あるんだし)僕が真っ先に飛び出してくとか。
しかも周りに言われてもぎとった僕の荷物もってふらふらしてるのはどういうことですか。とか。
なんてゆーか、闇影は凄く不満なのである。
それで僕らより給料が高いのがまた気にくわない。
大卒だからそれだけ期待されているんだろうけど、それでも、一つか二つしか違わないのに4万くらい基本給が違う。
ああもう、来年(度?)から給料ベースダウンするとか何とか言っているのに、余計しんどいっていうかなんて言うか。
ホントに苛つくんですが、まあなんか書き殴ったらちょっと気分が楽になった(藁)ので良し。
……さて、あと2ヶ月もしないうちに世の中は桜の花に呪われて(笑)社会人として新たな一歩を踏み出す人々があふれることになって、その中にはようやく大学を卒業した僕の同級生達も混じっているわけで。
そんなことはないと思いますが、どうかこんな新人にはなってくれないよう、切に願うばかりな訳です。
あー、なんだかんだ言ってもう4年も給料もらってるんだよなー。