飲み会

 で、エロえらい人に「あんたはいつも本を読んでるけどいったい何を考えて読んでいるんだ。思想を持たなきゃいかん」みたいなことを言われた。
 本こそが僕の人生であり、そのために仕事をしている人間にそんなことを言われても返答に困る。
 いつか本を書くために本を読んでいるんだとしか言いようがないのだが、そんな別の仕事目指してますってことをあからさまに言うこともできず笑ってごまかしたら怒られてしまった。
 なら言ってやろうか。
 僕は世界と人間を理解して構築するために本を読んでいます、とでも。
 本というのは要するに著者の思想の断片であり、それを集めれば理解できないまでもある程度他人のことを知ることができる。生身の人間とつきあうのは確かに濃度としては高く相手のことを知ることができるかもしれないけれど、そう言うことをしているととても疲れてしまうし時間の割に得るものは多くない。話を創るために必要な情報は全然足りないのです。あなたたちは人生80年くらいあると思っているかもしれないけれど、僕は自分の人生50年より後はないものだと思っているので、飲み会に参加する時間が惜しいのです。そして僕は限られた時間の中で情報を得るには本を読むのが一番効率的な手段だと信じているので、だから僕は飲み会に参加するよりも本屋を巡りたいのです、とでも一席ぶった方が良かったのだろうか?
 
 大体において、僕は(ごく親しい間柄を除いては)わいわい騒ぐのもプライベートや自分の話をするのも大嫌いな人間なのだ。
 飲み会なんかだと僕以外にいっぱい人間はいるんだから、好きな人間で勝手に盛り上がっていればいいと思っている。
 渋々参加しているというのに盛り上がれと言われたり盛り上げるために協力しろと言われたりするのは迷惑極まりない。
 僕はそう言うのに染まりたくないし、できれば混ざりたくもないのだ。
 別に自分以外の人間がそう言うのが好きだというのも、勝手に仲間を集めて盛り上がっているのも「そんなのが好きな人もいるんだよな」位には理解できるし、自分を巻き込まなければ少々はっちゃけても良いんじゃないか、程度には許容している*1。隣で眺めているのだってまぁ、酔っぱらいの反応を知るという意味でなら悪くない。
 ただ、そう言う人間は得てしてそんな騒ぎに巻き込まれたくない人間にも、場の空気に馴染むことを要請するのだ。
 頼むから、巻き込まないでくれとこっちが思っている空気も読んでほしいのだが、向こうはこっちが嫌がっているなどということはこれっぽっちも考えないらしい。
 根本的な話、ああやってギャアギャア騒いだり酔いつぶれたりしているのって心底見苦しいと思うのです。

*1:僕は基本的に他人の人格も好みも否定するのは好きではない。広がり、と言う意味では悪くないのだから