昔の妄想

 僕は非常に車に弱い子でしたので、よく車の後部座席で前のシートの背に頭をつけてぐったりしてました。
 うえー、気分悪い……などとげんなりしているので、親は当然横になって寝たら? と言っては呉れるのです。
 それは非常にありがたい申し出ではあるのですが、どうにも僕は寝る気になれないんですよね。

 後ろの座席でぐったり寝てたりしたら、親が誘拐犯に間違われるかもと、それはまぁ小学校に入る前後の年齢の子供らしくない心配をしていた所為で。

 小学校時代までの記憶なんて本当に断片でしかないのですが、妙にはっきり覚えているその感覚は、何とも言えないイヤなモノでした。
 普通、小学生低学年くらいまでの子供なんて(弟を見ていたらそんな気がするだけなのかもしれないけれど)自分を中心に世界が回ってると信じて疑わないような年齢だってのに、当時の僕はいったいどんな思考回路してたのかちょいと不安になります。