原因は案外

湘南人肉医 (角川ホラー文庫)

湘南人肉医 (角川ホラー文庫)

 人を捕まえて来ては食べてしまう(比喩表現じゃなくて本当に解体して食べるんですよ)整形医の話し。
 内容に関してはまあそこそこ、ってだけに留めておきます……が、後書きに関しては寒気を感じましたね。
 後書きは自分の書く話はどこか社会の底辺あたりに位置する人間の話しばかりなのだけれど、その原因はこんなのじゃないかな、と回顧しているだけのことだったのですが。
 1ページ程度の内容に「ああ、こんなことで人は歪んでいくんだ」と思ってしまったことがこの本での一番の印象でしょうか。
 幼い頃に体験した、大人になってしまえば目にも留まらないような些細なことで人はたやすく歪んでいくのだと思うと本当にぞっとします。
 しかも、そういう歪みって自覚していようがしていまいが修正は不可能なものが多いのではないかと思います。

 ……自分の歪みはきっと祖母に何度となく聞かされたあれだと判ってはいるのですが。
 まあ、ここは弟も見ていることだし明言は避けたいかと思います。