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禁涙境事件 ”some tragedies of no-tear land”
- 作者: 上遠野浩平
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/01/14
- メディア: 新書
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今回は禁涙境というところで起きた三つだか四つだかの事件がぼんやりとまとまっている、ちょっとつなぎのような印象のある話。
上遠野の話には大体言えることだけど、今までの登場人物が(名前が出てくるこないかかわらず)あちらこちらで言及されてるのが、「ああ、こいつらここで生きてるんだよなぁ」なんて思わせてくれるのが好き。たまに名前忘れてて意味が分からないときもあるけど(笑)。
シリーズ越えてやってくるものもあるし、こういうのは全ての話の根底が繋がっている作品じゃないと楽しめないので
読みではあるし読後感も悪くないんだけど、なんとなく散漫とした印象。ブギーポップの一作目から感じられる、後から考えてみるとまとまってはいるけど最終的にはどうなんだっていう雰囲気とちょっと似ている。
ただ内容的には面白いけど、オビとか巻末に載ってるちょっとした紹介に書いてある「EDの過去」やら「最高潮」って言う文句に期待を抱くと違和感を覚えることは請け合い。ていうか、EDの過去は前の本でも出てるやん。
いつもの通りの上遠野節を期待しているのなら全然問題ないんだけれど、もうちょっと考えて欲しいものである。
そうそう、本の最初と最後に鐘を鳴らすシーンがあるが、僕は妙にだだっ広いところに響き渡る鐘の音、という印象が好きだ。
なんだか妙に騒々しいくせにもの悲しくて、挽歌のような印象にひどく惹かれる。